2026年9月30日〜10月2日、Googleはスペインのバルセロナで、検索の仕組みを3日間かけて解説する公式イベント「Search Central Live Deep Dive Europe 2026」を開きました。イベントの内容はGoogle自身ではまだまとめられておらず、参加者のレポートで伝わっています。一方で、開催と同じ時期に、Googleは生成AIコンテンツや「有用なコンテンツ」の公式ドキュメントを更新しました。この記事では、イベントで語られたとされることを「公式文書で確認できること」と「参加者の報告だけのこと」に分けて整理します。
先に結論:確認できたことと、できなかったこと
公式文書で確認できたこと
- イベントは2026年9月30日〜10月2日にバルセロナで開催されました。対面のみ・参加無料・英語で、1日目がクロール、2日目がインデックス、3日目が検索結果の表示とランキングという構成です。公式文書
- 2026年10月1日、Googleは生成AIコンテンツのガイドを更新し、AIで作ったtitle要素・meta description・構造化データ・画像の代替テキスト(alt)も、公開前に人が確認すべきだと明記しました。更新理由は「開発者イベントで使っている発表資料と内容をそろえるため」です。公式文書
- 「有用なコンテンツ」のページに、メインコンテンツの質を評価する4つの観点(Effort・Originality・Talent or skill・Accuracy)が追加されました(2026年10月5日更新)。公式文書
参加者の報告だけで、公式には確認できていないこと
- Googleの担当者が示したとされる「クロールやインデックスなどの処理にかかる時間の目安」の表。担当者本人がSNSで「社内の数字に聴衆が実感を持てるかを試すための材料だった」と補足しています。第三者調査
- 構造化データがAI機能にどう使われるかについては、登壇者によって伝わり方が違います。第三者調査
- Googleによる開催後のまとめ記事・スライド・録画は、2026年10月14日時点で見当たりません。
どんなイベントだったのか
Search Central Liveは、Googleの検索担当チームがサイト運営者や開発者向けに開いているイベントです。今回の「Deep Dive」は、3日間の講義形式のイベントです。Googleは告知記事で、「一般的な業界カンファレンスというより、学習トラックとして設計した」と説明しています。参加は応募制で、ヨーロッパからの応募者が優先されました。公式文書
9月16日の公式ブログは、内容について「大部分は昨年のバンコクのイベントと同じだが、新しい話題として、主にAIに関するものを加える」と説明しています。公式文書 当日の講演内容は、コミュニティ登壇者でもあるROASTのJohn Campbell氏の日別レポートなどで伝えられ、Search Engine Roundtable・Search Engine Journal・PPC Landといった専門メディアがそれを引用して報じています。第三者調査
公式文書になったこと:AIで作ったメタ情報も、人が確認する
イベント2日目の2026年10月1日、Googleは「生成AIコンテンツの使用に関するガイダンス」を更新しました。更新後のページには、AIで作ったコンテンツは公開前に正確さと信頼性を人の手で確認することが重要だとしたうえで、「この確認は、検索結果に表示されることのある、title要素、meta description、構造化データ、画像の代替テキストなどのメタデータにも当てはまる」と書かれています。公式文書
Googleのドキュメント更新履歴には、この更新の理由として「開発者イベントで使っている発表資料と、ドキュメントの内容をそろえるため」と記載されています。公式文書 イベントで話された品質についての内容の少なくとも一部が、公式文書になったと読めます。ただし、スライドが公開されていないため、どこまでが同じ内容かは確認できません。
また、「有用で信頼できる、ユーザー第一のコンテンツの作成」のページには、ページの質を評価するうえで最も重要な要素の一つはメインコンテンツの質だ、という説明と、評価者が見る4つの観点が加わりました。
- Effort(労力):コンテンツの作成にどれだけ人の手がかかっているか。ページには「人による確認や取捨選択なしに、生成AIで大量の文章を作ることは、労力がほとんどない、またはまったくないことを示す」とあります。
- Originality(独自性):ほかのサイトにはない、独自の情報や視点があるか。
- Talent or skill(才能・技能):内容を作るのに必要な技能や専門性が示されているか。
- Accuracy(正確さ):情報を伝えるページの内容が、事実として正確か。
上の4項目は、公式ページの英語の記述を要約したものです。公式文書
イベントでも、AIで画像のaltを大量に作って公開したところ成果が落ちた、という事例がコミュニティ登壇者から紹介されたと報告されています。第三者調査 1社の事例であり、altの自動生成が必ず悪い結果になるという意味ではありません。
報告だけのこと①:処理にかかる時間の目安
多くの媒体が取り上げたのは、3日目にGoogleのGary Illyes氏が示したとされる、検索の各処理にかかる時間の表です。参加者のレポートによると、「最も速い場合・通常・最も遅い場合」の時間を、Googleの社内の分析にもとづいてまとめたものだと説明されました。主な項目は次のとおりです(一部を抜粋)。第三者調査
- 新しいURLの発見:通常は約20時間。遅い場合は数週間、または発見されない。
- 既知のURLの再クロール:通常は約30日。遅い場合は数週間、または再クロールされない。
- title・スニペットの更新:通常は1〜2日。遅い場合は数週間〜数か月。
- 構造化データの更新:通常は数時間〜1、2週間。遅い場合は数週間、または反映されない(品質による)。
- サイトの移転:通常は1〜3か月。遅い場合は6か月〜1年以上。
- コアアップデートからの回復:通常は3〜6か月。遅い場合は6か月〜1年(次のコアアップデートまで)。
出典:ROASTの3日目のレポートと、それを引用したSearch Engine Roundtable・Search Engine Journalの記事から抜粋。PPC Landを含む4つの媒体で数値は一致していますが、いずれも同じ参加者レポートをもとにしています。第三者調査
この表は、そのまま「Googleの公式の目安」として受け取らないほうがよい材料です。理由は3つあります。
- Illyes氏本人が、報道のあとにSNSで「社内で集計した数字に、聴衆が実感を持てるかどうかを試すための材料だった」と補足しています(Search Engine Roundtableが紹介)。第三者調査 Googleの公式チャンネルでの発言ではないため、この記事では「公式発言」には分類していません。
- Search Engine Journalは、「“通常”の定義、サンプル数、測定期間が示されていない」と指摘しています。第三者調査
- 公式の記録と合わない項目があります。表には「スパムアップデートは1〜2日で展開」とありますが、Googleの公式ステータスページでは、2026年9月のスパムアップデートの展開に13日16時間かかっています。公式文書
なお、重複ページの正規化(どのURLを代表として扱うか)については、公式ドキュメントに「内容の問題を直したあとも、最大2週間は重複のグループに入ったままになることがある」と書かれています。公式文書 修正の効果を確かめるときの目安としては、こちらのほうが根拠として確かです。
報告だけのこと②:構造化データはAIに使われるのか
構造化データについては、登壇者によって伝わり方が違います。
- 2日目に構造化データを担当したRyan Levering氏は、「スキーマ内のテキストは、ページの内容と一緒に渡される。コードとしてではなく、文脈としてGoogleのAI機能に使われる」「構造化データを付けて悪くなることはない」と話したと報告されています。第三者調査
- 3日目のIllyes氏は、リッチリザルトは構造化データにもとづくが、AIの回答は構造化データを必要とせず、テキストから作られる、と話したと報告されています。第三者調査
PPC Landはこの食い違いを指摘したうえで、「コードとしては読まれないが、そのテキストは読まれる、と考えれば両立しうる」と整理しています。第三者調査
公式文書の立場は、AI検索への対応についてのガイドに書かれています。「生成AI検索に構造化データは必須ではなく、特別なschema.orgのマークアップを追加する必要もない。ただし、SEO全体の取り組みの一部として使い続けるのはよい考えだ」という内容です。公式文書 構造化データは、AI対策の決め手というより、リッチリザルトと内容の正確な伝達のために整えておくもの、と考えるのが公式の記述に沿った理解です。
スパムとAIスロップについての訂正を含む補足
イベントでは、Googleが1日に400億のスパムページを除外している、という数字も紹介されたと報じられました。第三者調査 この数字自体は新しいものではなく、Googleの「検索の仕組み」のページに以前から「私たちのシステムは毎日400億のスパムページを見つけている」と書かれています。公式文書
「AIスロップ(AIで量産された低品質コンテンツ)が増えている」という話は、元の参加者レポートでは、Discoverを担当するEric Murillo氏のセッションの項に書かれていて、Discoverのフィードについての説明です。第三者調査 当サイトの9月のスパムアップデートの記事では、この話をIllyes氏の発言として紹介していたため、あわせて訂正しました。Illyes氏については、量産されたコンテンツがリンクスパムより大きな問題になりつつある、と警告したと報告されています。第三者調査
サイト運営者が今できること
- AIで作ったtitle・meta description・構造化データ・altは、公開前に人が読み、ページの内容と合っているかを確かめましょう。これは公式文書に書かれた方針です。
- 修正の効果は、数日で判断せず、数週間の単位で見るのが無難です。イベントで示された時間の表は参考にとどめ、公式ドキュメントの記述を優先してください。
- 構造化データは、AI検索のためだけに増やす必要はありません。表示されている内容と食い違いがないこと、日付などを正しい形式で書くことを優先しましょう。
上の3点は、確認できた事実から導いた一般的な助言で、Googleが「対策」として示したものではありません(1点目の「人が確認する」だけは公式文書の記述です)。経験則・俗説
出典
- Search Central Deep Dive Europe 2026: Apparently we’re going to Barcelona|Google Search Central Blog(2026年7月6日)
- Search Central Live Deep Dive Europe 2026: Meet the community speakers|Google Search Central Blog(2026年9月16日)
- Google Search’s guidance on using generative AI content|Google Search Central(最終更新 2026年10月1日)
- Latest Google Search Documentation Updates|Google Search Central(2026年10月1日の更新理由)
- Creating helpful, reliable, people-first content|Google Search Central(最終更新 2026年10月5日)
- AI optimization guide|Google Search Central
- Canonicalization troubleshooting|Google Search Central
- Google Search Status Dashboard(September 2026 spam update:13 days, 16 hours)
- How Search Works – Detecting spam|Google
- Google Search Central Live Deep Dive Barcelona: Day 2 Recap|ROAST(John Campbell、2026年10月1日)
- Google Search Central Live Deep Dive Barcelona: Day 3 Recap|ROAST(John Campbell、2026年10月2日)
- Google Search Data On Crawling, Indexing & Serving Timelines|Search Engine Roundtable(Barry Schwartz、2026年10月5日)
- Google Search Spam Updates Use AI To Find AI Spam|Search Engine Roundtable(Barry Schwartz、2026年10月5日)
- Google Shows How Long Crawling, Indexing & Recovery Can Take|Search Engine Journal(Matt G. Southern、2026年10月4日)
- Google says new pages take about 20 hours to be found, some never are|PPC Land(2026年10月3日)
取得日・最終確認日:2026年10月14日。Googleの公式ページと第三者の記事は、いずれも同日に本文を直接取得し、引用した記述を原文で確かめました。イベントでの発言は、Google自身による文書化がなく、参加者のレポートと、それを引用した報道にもとづきます。
根拠ラベルの見方: 公式文書Google・Microsoftなどの公式ドキュメント 公式発言公式チャンネル・ブログでの担当者の発言 第三者調査民間の調査・データ(相関と因果は別) 経験則・俗説公式には確認できない、実務上の目安
この記事の更新履歴
最終確認日:(公式情報と照らして内容を確認した日)
-
以前処理時間のキャプションで、数値が一致した4つの媒体のうち3つしか名前を挙げておらず、根拠なく「最も多く報じられた」と書いていた
現在PPC Landを書き加え、「多くの媒体が取り上げた」に改めた。公式文書で確認できたことと報告だけのことの対照図を加えた。あわせて、内容・数値・出典は変えずに、結論を先に書く・一文を短くするなど表現を見直した